さかのぼること数十年前になるんだけど、
ソアラだ、シルビアだ、プレリュードだの
オンナを引っかけるには
それら『デートカー』なるもの
が必需品だった時代があるんだと。
それが90年代のハナシ。
当時は不動産が
値上がりを続けるモンだから、
「日本は一生金持ち!」
「この先不景気なんてありえねぇ!」
ってみんなが思っていたんだって。
そんな浮かれた気分で
生きていたもんだから
自動車メーカーも
実用性度外視のイケてるクルマを
次々お披露目してったワケ。
ほんでそれらスポーツカーが
中古車市場に出回るようになって
日本の改造車ブームが
にわかに訪れるわけだけど
それより30年も昔の60年代、
「改造車先進国」アメリカでは
ホットロッドカスタムが
大ブレイクしたらしい。
30年代のフォードモデルAとか、
50年代のマーキュリークーペとかを
ベース車両にしてさ。
ドデケぇエンジン突っ込んで、
太っといタイヤ履かせて、
ルーフをチョン切ったりして。
教科書に載っているような
クルマのご先祖様を
イカつく改造して
ドラッグレースに興じるのが
アメリカ人の休日だったんだって。
それが古き良きアメリカの文化として
今なおホットロッドを愛好する者たちが
後を絶たないんだとか。
紳士な大人の嗜みとして
立派な趣味のひとつということで
市民権を得ているんだとよ。
へぇ、そいつはうらやましいね。
日本じゃ
「僕、クルマイジってます!」
ってだけで
白い眼を向けられるのにさぁ。
同じクルマ好きなのに
エラい違いだよ。
俺も将来は
日曜日の昼下がり
瓶ビール片手に持って
32年式デュースをイジくり回す
「ステキなおじさま」
になりたいもんだよ。
ホットロッド
1930年頃にアメリカで生まれたカスタム。1930年~50年代頃の中古車がベースに用いられ、フォードモデルA(特に32年式。通称:デュース)やGM系クーペ(シボレーやマーキュリー)の人気が高い。退役した航空機エンジニアが中古車をカスタムしてドラッグレースに興じたのが起源とされている。
ホットロッドは単にカスタムジャンルというだけでなくアメリカ文化の一部として深く根付いており、カーマニアはじめ老後の楽しみとしてホットロッドを愛好する者は非常に多い。そのためアフターパーツの需要が大きく、専門の業者が数多く存在しパーツを供給している他、シボレーやフォードも自身で販売していたりする。
年式の新しい高出力エンジンに換装したり、フェンダーやバンパーを取り外したり、ピラーを切り詰めチョップドルーフにするカスタムが特徴的。低い車高とハイパワーが絶対条件。日本にもホットロッド好きが数多く存在するが、これはかの有名なムーンアイズが広めたとされている。
炎を身にまとう『フレイムペイント』は定番中の定番。速さや性能はもちろんのこと、ルックスのトータルコーディネートも大事な要素。
錆びて朽ち果てたボディのままカスタムしちゃうのも定番の手法。「ネズミが棲んでそうな棺桶」ということでラットロッドと呼ばれる。
錆びた塗装面にクリアを吹き付けそのままコーティングする手法が一般的。そのクルマならではの風合いと味わいが出るから良いんだとか。最近はペイントで代用するケースも見受けられる。
60~80年代のマッスルカーをカスタムしたものも広義の意味でホットロッドに含まれるらしい。
ローダウン・ビックエンジンはもちろん、エアサスやハイドロが組まれることがある他、大径クロームホイールで足回りをキメることもしばしば。
無論トラックだってホットロッドになりうる逸材。
ピックアップトラックは構造が比較的簡単なため、カスタムするにはうってつけなんだとか。
ホットロッドに欠かせない大馬力ハイパワーエンジン。もともとのエンジンをリビルドしたり年式の新しいものに交換したりする。
ビックブロックやHEMIエンジンはその代表格ともいうべき存在。
換装するだけでなく、エンジンルームをいかに美しく魅せるかもポイント。
ホットロッドだって内装には手を抜かない。
ショーカーやカジノの景品になるレベルにはインテリアもリメイクしないとダメ。
内張りやスウェードはもちろん、小物のひとつに至るまでバッチリキメなきゃならんのだ。